30.山波家での生活

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***  (そう)の実家にお世話になることが決まったので、夕飯の買い出しに行く必要はなくなった結葉(ゆいは)だったけれど。 「(そう)ちゃん、今日は何時頃にお仕事終わる?」  アパートのベランダに干してきた洗濯物や、(そう)の布団のことが気になって仕方のない結葉(ゆいは)だ。  早く取り込まないと、冷たくなってしまう。  公宣(きみのぶ)とともに昼食を食べに帰ってきた(そう)に、お茶を出しながらおずおずと問いかけたら、(そう)が「ん〜。いつも大体十九時(しちじ)前後だけど……何か用事?」と結葉(ゆいは)を見つめてきて。 「そういや、今朝も同じ質問されたよな、俺」  と思い出したように付け足した。  朝は別のことを話しているうちに、何となくその辺りが有耶無耶(うやむや)になってしまったのだ。 「けど……食材の買い出しはもう必要ねぇよな? もしかして他にどっか行きたいトコ出来た?」  実家に身を寄せることになったのだから、アパートの方の食材を増やす必要はない。  至極もっともな(そう)の問いかけに、 「あ、あのね、洗濯物とお布団のことが気になっちゃってて」
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