30.山波家での生活

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 結葉(ゆいは)がソワソワしながら応えたら、昼前に自分を迎えに来てくれた時に見たんだろう。 「そういや干してあったな」  と(そう)がつぶやいて「あんま遅くなったら冷えちまうか」と眉根を寄せる。 「いまから行って来ればいいじゃないか」  今まで黙って(そう)結葉(ゆいは)のやりとりを聞いていた公宣(きみのぶ)が、不意に二人の会話に割り込んできた。 「洗濯物も気になるかもしれないけど。それより何より二人とも取って来たい物もあるんじゃないのか? (そう)。お前、どのみち今日はいまから現場へ行っても中途半端になるだろうし、有給取って引っ越しの手配をしてきたらどうだ?」 「いや、けど……俺、昨日も」  (そう)は何だかんだで昨日も休んでしまっている。  それを気にしているらしい。 「じゃあ(そう)の代わりに父さんが結葉(ゆいは)ちゃんと行ってこようかな」  そんな息子の迷いを逆手に取るようにクスッと笑うと、公宣がそう言って。  途端(そう)が、カラン、とスプーンから手を離して「俺っ!」と声を張った。 「……考えてみたら有給余りまくってるし、使うことにするわ」  (そう)が不機嫌そうにそっぽを向いて吐き捨てるのを見て、結葉(ゆいは)は何だか申し訳ない気持ちになる。  でも――。
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