737人が本棚に入れています
本棚に追加
「もぉ〜。そうして貰わないとお母さんがゆいちゃんにヤキモチ妬いちゃうところだったわぁ〜」
今まで黙って三人のやりとりを見ていた純子がわざとらしくぷぅ〜っと頬を膨らませて参戦してきて、公宣が「あああっ、純子ぉ、ごめんっ!」「分かってくれればいいのよ、公宣さんっ♡」と三文芝居を繰り広げ始めてしまい、口を挟む機会を逸してしまった。
「恥ずかしいからやめろ、バカ夫婦」
想がチッと舌打ちしてそんな両親を睨みつけて。
結葉は逆に、こんな風に笑い合える夫婦っていいな、とうらやましくなる。
(お父さんとお母さん、どうしてるかな)
ふとアメリカに行った両親のことを思い出した結葉は、それと同時、偉央とのことを二人に話さないといけないな、と思って小さく吐息を落として。
「結葉?」
そんな結葉にいち早く気付いた想から心配そうに声を掛けられてしまう。
結葉はちょっと迷って、「お父さんとお母さんに偉央さんのこと、どう伝えようかなって考えてたの……」と、素直に思っていたことを吐き出した。
今までの自分だったらきっと。「何でもないよ」と笑って誤魔化していただろうな、と思いながら。
最初のコメントを投稿しよう!