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想はそんな結葉を彼女の正面の席で黙って見ていたけれど。
「ま、だからって今すぐどうこうしろって話じゃねぇと思うぞ」
と、思い詰めた様子の結葉に助け舟を出してやる。
「要は御庄さんと決着を付けるまでに相談すればいいだけだろ? ――余り深刻に考えるな」
実際には想にだって偉央から新しいリアクションが起こされたら、それを元にご両親に相談したほうが良いだろうと言うのは分かっている。
きっとその方が、結葉が一人で悶々と考えたり、結婚したこともない自分がアレコレアドバイスをするよりも実りがあるはずだから。
そう考えると、それほど時間は残されていないのかも知れない。
それでも――。
想はつい先日旦那の元を逃げてきたばかりの傷付いた結葉に、もう少しだけ心を休めて欲しいと思ったのだ。
「想。そうは言ってもそれほど時間は――」
公宣が何か言いたげに言葉を紡ごうとするのを、視線だけで制すると、想は食べ終わった皿を手に立ち上がる。
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