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「私ね、すっごくすっごくお母さんになるの、憧れてたの」
思わずポツンとつぶやいたら、想が小さく息を呑んだのが分かって。
「あっ、別に不妊だったとかそういうのじゃないから……気を遣わないでね」
結葉は慌てて言い募った。
「もちろん、別に偉央さんにも問題があったわけじゃないの」
検査を受けたわけじゃないから絶対とは言えないけれど、結葉の中では二人とも子を成すには問題のない健全な男女だったはずなのだ。
ただ、偉央にその気がなかっただけで。
「ま、まぁ子供なんてのは縁だって言うし、な……」
想が言葉を選んだようにそう言ってくれて、結葉は何だか申し訳ない気持ちになる。
「ごめんね、私が変なこと言っちゃったから想ちゃんに気、遣わせちゃった」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
想がモゴモゴと言い訳をする様が、何故だかすごく愛しく思えてしまった結葉だ。
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