30.山波家での生活

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*** 「うっそぉ! 今日から結葉(ゆいは)ちゃんもうちに住むの⁉︎」  もうじき十九時(しちじ)になろうかと言う頃。  仕事から帰ってきた(せり)は、何気なく手を洗いに洗面所へ行きがてら、台所に立つ結葉(ゆいは)に気がついて素っ頓狂な声を上げた。  いま、母・純子は父・公宣(きみのぶ)と仲良く夫婦水入らずの入浴タイムで。  (そう)は食事の際に結葉(ゆいは)が座る椅子を見繕いにホームセンターに出かけているとのことだった。  本当は、(そう)から「結葉(ゆいは)も一緒に行こう」と誘われたのだけれど、夕飯の支度がまだ済んでいなかったので「一番お安い折りたたみ椅子でいいよ」と伝えて椅子選びは(そう)に一任したらしい。  実は昨夜、ついうっかり両親に兄のところに結葉(ゆいは)が来ている話をしてしまった(せり)だ。  結果、いつものほほんとしている母親が結葉(ゆいは)のことをとても心配し始めて、父と何やら遅くまで話しているなとは思ったのだけれど。  まさかその翌日にはこんなことになってしまうだなんて思いもしなかった。
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