30.山波家での生活

24/27
前へ
/848ページ
次へ
*** 「うん。お家、狭くしちゃってごめんね」  テーブルに、ほかほかと湯気のくゆる料理を並べながら、どこか申し訳なさそうに結葉(ゆいは)が言うから、(せり)はブンブン手を振って。 「この家、広いだけが取り柄だもん! 全然そんなこと思わないっ! それより寧ろお姉ちゃんが出来たみたいであたし、すっごく嬉しい!」  実際、大きな声では言えないけれど、ある程度物心がついてからはずっと。  (せり)は名実ともにいずれはそうなるものだと信じていたくらいなのだから。 (お兄ちゃんと結葉(ゆいは)ちゃんが結婚しなかったの、あたし的にはホント大誤算だったのよぅ)  でも、このところの兄と結葉(ゆいは)の様子を見ていたら、もしかしたら、と期待もしてしまっている(せり)だ。 (結葉(ゆいは)ちゃんみたいな綺麗で優しいお姉ちゃんが出来たら、あたしすっごく嬉しいんだよね)
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

736人が本棚に入れています
本棚に追加