30.山波家での生活

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 子供の頃から(せり)に優しくしてくれた、〝お隣の結葉(ゆいは)ちゃん〟は、いつしか(せり)にとって本当に姉のように思える存在になっていたから。 (お兄ちゃんも優しいけど、やっぱり同性の姉妹(きょうだい)とは違うもの)  一緒に料理を楽しんだり、買い物に行ったり。  考えただけで楽しそうだと(せり)は思うのだ。  それに、女同士だからこそ分かち合える話題もあると言うもの。  いくら優しくてもさすがに(そう)と下着のデザインの可愛さや、付け心地なんかについて盛り上がれたりはしないし、化粧品の話にしてもそう。  そういうアレコレを話せるのは、やはり同性の特権だと思って。 「結葉(ゆいは)ちゃんが来てるってことは雪日(ゆきはる)くんもいるの⁉︎」  ソワソワしながら聞いたら、結葉(ゆいは)がニコッと笑って「二階に」と教えてくれた。  結葉(ゆいは)は、家のほぼ中央に位置する螺旋状の階段を上がってすぐの、八畳ほどの角部屋を使うように言われたらしい。  (そう)の部屋は結葉(ゆいは)に充てがわれた部屋からは階段を挟んだ対角線状にあって、位置的には一番両親の寝室に近い。
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