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そもそもそこを主に使わせてもらっているのは他ならぬ結葉自身なのだ。
大分純子のやり方も分かって来たし、そこぐらいは責任を持って綺麗にしたいな、と思って。
恐る恐る提案してみたらめちゃくちゃ喜ばれた。
「わ~。助かるぅ~。実は私、基本的には一階で過ごしたい派なのぉ~」
嘘か真実かは分からないけれど、純子は「階段の昇り降りは朝晩の一回ずつだけでいぃーっ!」と力説して。
「本当はね、この家建てる時も平家がいいって言ったんだけど……公宣さんがそれだと土地を食い過ぎるからダメだって」
ムゥッと唇をとんがらせる純子を見て、奥さんに甘々に見える公宣にも譲れない部分があったんだなとちょっぴり感心してしまった結葉だ。
「お互いに言いたいことを言い合えるご夫婦って素敵です」
自分だって結婚生活を始めたばかりの頃はそうだったはずなのに。
いつの間にか偉央の顔色をうかがってばかりいるようになってしまった。
食事の時のお茶の好み一つ言い出せないままに唯々諾々と偉央に付き従っていた自分は、果たして夫婦と呼べる関係だったのだろうか。
そんなことを思ってしまって。
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