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ついポロリとこぼすように漏らして無意識にうつむいたら、「ゆいちゃんはソレが出来なくて辛かったのかな?」と頭をヨシヨシされてしまう。
髪を撫でる優しい感触にソワソワと視線を上げると、まるで聖母さまみたいに優しい表情をした純子と目が合って。
その柔らかな眼差しに引き込まれるように、結葉は「はい」と素直に答えていた。
「そっか。それは辛かったね。一緒に住んでるのに自分の意見が言えないと、ドンドン心の中にモヤモヤが溜まっちゃうもんね」
ほぅっと吐息を落とすように言って、純子が結葉の顔をじっと見詰めてくる。
「あ、あの……」
「ね、ゆいちゃん。なかなか難しいかも知れないけど……うちでは思ったこと、何でも遠慮なく言ってね?」
「え……っ」
「私たち全員、ゆいちゃんのこと、本当の家族みたいに思ってるから。だから嫌なことは嫌って言って大丈夫だし、これがしたい、あれがしたいってワガママだってバンバン言ってくれて構わないのよ?」
ヨシヨシ、と小さい子にするみたいに結葉の頭を撫でながら純子が言って。
結葉はそんな純子の言動に、美鳥や茂雄を思い出してウルッとしてしまう。
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