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涙目になってしまったのをバレたくなくて顔を上げられなくて。
でもお礼はちゃんと言いたかったから。
「有難う……ござい、ます」
小さくつぶやいたら声が震えて(泣いちゃったの、バレバレ)と、心の中で自分の不甲斐なさに苦笑した結葉だ。
「どういたしまして。もちろん私たちもゆいちゃんには遠慮なく思ったことを言うから。それにムカッ!ときたら変に気を遣わないで怒ってくれて大丈夫だからね?」
純子は結葉の頭をポンポンと契機づけるようにやわらかく叩くと、
「そんなわけでっ。二階のこと、ゆいちゃんがやってくれるの、すっごくすっごく助かりまぁ~す!」
言ってニコッと笑って見せる。
結葉はそんな純子に涙目のまま笑い返すと、「じゃあ、二階は責任持って私が管理させて頂きますねっ」とガッツポーズをして見せた。
動いた瞬間に目に溜まっていた涙がポロリと溢れて頬を伝ったけれど、純子には泣き顔を見られても構わないやって思えた結葉だ。
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