735人が本棚に入れています
本棚に追加
***
ここで暮らし始めて二日目の夕方。
夕飯後、キッチンに残った結葉は、純子にせっつかれるようにしてお弁当作りのことを想に切り出したのだけれど。
想は一瞬驚いたような顔をしてから「えっ。マジで? ……いいのか?」と恐る恐る聞いてきて。
「うん。想ちゃんさえ迷惑じゃなければ」
結葉が不安気にそう言ったら
「迷惑なわけねぇよ! って言うか逆にすっげぇ助かる!……し、えっと、その……」
そこですぐそばに立つ純子を気にしてチラチラと睨むように見詰めてから、結葉の耳元に屈み込んで唇を寄せる。
そうして結葉にだけ聞こえるぐらいの小声で、「作ってもらえたらめちゃくちゃ嬉しい」とささやいた。
想の吐息が耳に当たって、結葉はゾクリと肩を震わせて。
思わず見上げた想が耳まで真っ赤にしているのを見て、当てられたように自分もぶわりと顔が熱くなってしまう。
「や~ん。何なの、二人ともっ! 想像以上に可愛いーんだけどっ♡ お母さん妬けちゃ~う♡」
最初のコメントを投稿しよう!