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「想、お前宛に書留が届いてるぞ」
昼過ぎに仕事に使う道具を取りに一旦会社に戻ってきた想は、いつになく重い表情をした公宣からA4サイズ相当の封筒を手渡された。
差出人を見ると『御庄偉央』からで。
(思ったより時間かかったな)
と思ってしまった想だ。
偉央は電話では「すぐに送ります」と言っていたけれど、実際のところなかなか踏ん切りがつかなかったのかも知れない。
ショッピングモールで想が偉央からの着信を受けてから、実に半月近くが経過していた。
その間、結葉は立ち位置が宙ぶらりんのまま。
想は、そんなある種の膠着状態に、内心ヤキモキさせられていた。
結葉も一見普段通りに過ごしているように見えたけれど、きっと何も思わなかったわけじゃないはずだ。
相手からのリアクション待ちの期間というのは、実際の時間経過よりも長く感じられるものだし。
(さて、どうしたものか……)
公宣から渡された荷物の宛名は山波建設内の山波想になっているけれど、中身はほぼ結葉宛だろうと言うのは開封しなくても分かる。
想は、果たして開けるべきか否かをしばし逡巡して。
迷いを吐き出すみたいに大きくふぅーっと吐息を落とすと〝開封しよう〟と心に決めた。
一度自分がサラリとでも中身を確認しておいた方が、結葉に渡す時に心の準備が出来るな、と思ったから。
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