31.大切な連絡

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「そういやその隣に入ってた鶏肉(とり)、柚子胡椒使った?」  そんな風味のする照り焼きチキンが入っていて、口に入れた時に広がった柚子の風味が堪らなく旨いと思った(そう)だ。 「うん。柚子胡椒、冷蔵庫にあった小瓶を使わせていただいたの」  気に入ってくれたかな?と思いながら(そう)を見上げたら、彼はすぐに察してくれたみたいに「すっごい好みの味で食った瞬間驚いた」と微笑んでくれる。  「何となく弁当箱ん中から柚子の香りがするなぁとは思ってたけど、まさかそれが照り焼きからだとは思わなかったわぁ」と心底感心したように言ってくれた(そう)に、 「喜んでくれたなら良かった……」  ホッとして微笑んだら、「けど……」といきなりトーンを落とした声音でつぶやかれて、結葉(ゆいは)は思わず「えっ」と声を漏らす。 「でも……?」 (卵焼きと照り焼きは大丈夫だったけど、他に何かキライなものが入ってた、とか?)  そう思って、ゴクっと唾液を飲み込んで、続けられる(そう)からの言葉を待つ結葉(ゆいは)の顔を、(そう)が何故か心配そうに覗き込んでくる。
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