31.大切な連絡

18/42
前へ
/848ページ
次へ
「早めに職安(ハロワ)、行かなきゃいけないんだけど……」  (そう)から預かった弁当の包みを無意識にギュッと握ってしまってから、慌てて力を緩めると、 「いつまでも山波家(みなさん)のご厚意に甘えてばっかりじゃ、ダメだもんね」  と一生懸命笑ったら「別にそんな無理して急ぐ必要ねぇだろ」とそっと頭を撫でられた。 「(そう)ちゃ……」  小さくつぶやいて(そう)を見上げたら、「……そういや(せり)は?」といきなり話題を変えられて。 「(せり)ちゃんなら今、自分のお部屋で彼氏と電話中だよ」  疑問に思いながらも結葉(ゆいは)が答えたら、(そう)は何かを決心したみたいに小さく吐息を落とした。 (純子さんと公宣(きみのぶ)さんが、この時間はいつもお風呂なのは分かっているから、二人のことは聞かないのかな?)  そんな風に思う結葉(ゆいは)に、 「(せり)の電話、いつぐらいから?」  (そう)はとにかく(せり)の動向が気になるらしく、更に質問を投げ掛けてくる。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加