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「早めに職安、行かなきゃいけないんだけど……」
想から預かった弁当の包みを無意識にギュッと握ってしまってから、慌てて力を緩めると、
「いつまでも山波家のご厚意に甘えてばっかりじゃ、ダメだもんね」
と一生懸命笑ったら「別にそんな無理して急ぐ必要ねぇだろ」とそっと頭を撫でられた。
「想ちゃ……」
小さくつぶやいて想を見上げたら、「……そういや芹は?」といきなり話題を変えられて。
「芹ちゃんなら今、自分のお部屋で彼氏と電話中だよ」
疑問に思いながらも結葉が答えたら、想は何かを決心したみたいに小さく吐息を落とした。
(純子さんと公宣さんが、この時間はいつもお風呂なのは分かっているから、二人のことは聞かないのかな?)
そんな風に思う結葉に、
「芹の電話、いつぐらいから?」
想はとにかく芹の動向が気になるらしく、更に質問を投げ掛けてくる。
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