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とりあえず、と言う感じで、想に促されるようにして台所の方へ歩き出した結葉は、歩きながら「さっき掛かってきたばっかりだよ?」と答えて。
内心(何で想ちゃん、今日はこんなに芹ちゃんのこと聞いてくるんだろう?)と思っていた。
***
キッチンの流しに行ったら「俺が洗うよ」と、想が肩にかけたままだったリュックを床に無造作に置くなり、慣れた手つきで弁当箱を洗い終えてしまう。
「あ、あの、想ちゃん?」
いつも大抵自分の弁当箱は自分で洗う想だったけれど、こんな風にリュックを自室に置きに行きもせず、どこかソワソワした様子でそれをしたことはなかったからちょっぴり変な感じがして。
手拭きタオルで手を拭って再びリュックを持ち上げた想を見上げながら恐る恐る声をかけたら、
「夕飯が始まるまでの間、俺たちも二人きりで話さないか?」
想がすごく真剣な顔をして結葉を見下ろしてきた。
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