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想が肩にかけたままだったリュックを、部屋の中央に置かれたローテーブルの上に下ろしながら眉根を寄せる。
その表情を見たら、少しだけ緊張の糸が緩んだ気がした結葉だ。
「ううん、平気。……全部、何か理由があるんでしょ?」
そうでないと、想があんな思い詰めたような怖い顔をするはずがないことも、わざわざ結葉を不安にさせてまで部屋に施錠をすることがないことも、分かっている。
「ああ、実はな、御庄さん――、えっと……お前の旦那から今日、うちの会社に書留が届いたんだ」
言いながら、想が机上に載せたリュックの中からA4サイズの封筒を取り出して。
「偉央さん……から?」
「ああ」
封の切られた封書を手渡してくれながら、想が申し訳なさそうにつぶやいた。
「すまん。俺宛だったから……一応中、確認させてもらってる」
言われて、結葉は「うん」と答えながら、開いている箇所から中身を取り出した。
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