31.大切な連絡

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 偉央(いお)と自分は、少なくとも法的にはまだ夫婦だし、山波一家に負担を与えるよりは理に適っているように思えた。  でも――。 「(そう)ちゃん、私、やっぱりこのお金は使いたくない。あと……、で、出来れば……その……直接偉央(いお)さんに受け取れない理由(わけ)を話してからお返ししたい」  しどろもどろになりながら言ったら、「そっか」と(そう)は静かに頷いてくれた。  (そう)にだって、きっと思うところは沢山あるはずなのに。  彼が、そういう諸々の感情を全て押し殺して、結葉(ゆいは)の気持ちを尊重してくれようとしているのをひしひしと感じて、結葉(ゆいは)(そう)に対して感謝の気持ちと同じぐらい、申し訳なさが込み上げてしまう。 「ごめんね、(そう)ちゃん」  つぶやくように付け加えたら、「前に言っただろ、結葉(ゆいは)。謝るくらいならどうするんだっけ?」と即座に続けられて。  結葉(ゆいは)は、(すん)()逡巡して、「(そう)ちゃん、いつも私のために有難う」と言い直した。
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