31.大切な連絡

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 (そう)はそれに対して「おう」と一言返してくれると、「――じゃあ、とりあえずそれは保留な」と小切手を指差す。  結葉(ゆいは)は頷きながら、手元の小切手と、偉央(いお)からのメモ書きを封筒に戻して、クリアファイルに入れ直した。  もう一封の封書には表に「結葉(ゆいは)へ」と書かれていて。  結葉(ゆいは)はその文言を見た途端、ギュッと胸が締め付けられるような切なさを覚える。  偉央(いお)との婚姻生活は決して楽しいとは言い難かったけれど、結葉(ゆいは)が寝込んだりした時には、偉央(いお)結葉(ゆいは)(いたわ)わるように消化の良い手料理を作ってくれた。  偉央(いお)が仕事で不在になるような場合は、その料理の(かたわ)らに、必ず今みたいに「結葉(ゆいは)へ」と書かれたメモ書きが付けられていたのを思い出したのだ。  手紙の方はベロの部分がしっかりと糊付けされていて、未開封のまま。 「さすがにお前宛の手紙は中、見てねぇから」  結葉(ゆいは)の戸惑いに気付いたように、(そう)が言った。
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