31.大切な連絡

29/42
前へ
/848ページ
次へ
 母に心配をかけてしまったことが、申し訳なくて堪らないと思ってしまった結葉(ゆいは)だ。  その上、いまから更に母を悲しませるであろうことを、自分は告げねばならないのだ。  そう思うと苦しくて苦しくて仕方がなくなってくる。 「あ、あの、あのね……」  不安と絶望に(さいな)まれて、ヒュッと喉の奥で息が詰まる感じがして、何かを言わねばと紡いだ声が情けないくらいに震えていて。  そのことにどんどん追い詰められるように、結葉(ゆいは)はブルブルと身体を震わせた。  それを押さえようと頑張れば頑張るほど、(もも)の上に乗せた、スマートフォンを持っていない方の手まで、無意識に真っ白になるぐらい力を入れて握りしめてしまう始末。  結葉(ゆいは)は、背中を嫌な汗が伝うのを感じた。  そんな結葉(ゆいは)を見かねたのか、(そう)が手を伸ばして、血の気がなくなるぐらい強くギュッと拳を作ってしまっていた結葉(ゆいは)の手を、そっと包み込んでくれる。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加