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母に心配をかけてしまったことが、申し訳なくて堪らないと思ってしまった結葉だ。
その上、いまから更に母を悲しませるであろうことを、自分は告げねばならないのだ。
そう思うと苦しくて苦しくて仕方がなくなってくる。
「あ、あの、あのね……」
不安と絶望に苛まれて、ヒュッと喉の奥で息が詰まる感じがして、何かを言わねばと紡いだ声が情けないくらいに震えていて。
そのことにどんどん追い詰められるように、結葉はブルブルと身体を震わせた。
それを押さえようと頑張れば頑張るほど、腿の上に乗せた、スマートフォンを持っていない方の手まで、無意識に真っ白になるぐらい力を入れて握りしめてしまう始末。
結葉は、背中を嫌な汗が伝うのを感じた。
そんな結葉を見かねたのか、想が手を伸ばして、血の気がなくなるぐらい強くギュッと拳を作ってしまっていた結葉の手を、そっと包み込んでくれる。
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