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ゆっくりとこちらの様子を窺うように。
美鳥になるべく衝撃を与えないように。
結葉がひとつずつ単語を選ぶようにしながら投げかけてきた言葉に、美鳥はそれでも頭を鈍器で思いっきり殴られたような衝撃を覚えてしまう。
別れたりせずに、どうにかならないのだろうかと思って。
でも、と思い直した。
幼い頃から我慢強くて大抵のことは飲み込んで受け入れてしまうところのあった娘だ。
その子が、「別れるしかない」と判断を下したのだとしたら、それはもう本当に無理だったからに違いない。
いや、我慢強い結葉だからこそ。
もしかしたら離婚を切り出してきたのは偉央の方かもしれないと、思い直す。
だとしたら結葉にはどうしようもないではないか。
「そっか。ゆいちゃん、辛かったね。お母さん、鈍感で何も気付いてあげられなくてごめんね」
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