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別れを切り出したのはどっちから?と聞けなくて、思わずどっちとも取れる当たり障りのない言葉を返したら、『そっ、そんなこと、ないっ!』という声とともに、カサカサという音が聞こえてきた。
きっと結葉のことだ。
音声通話だから見えないのに。
結葉はきっと、必死になってフルフルと首を横に振ってくれているんだろう。
『お母さんのお陰でっ、私、辛かった時、すごく救われてたっ。こっちにいるときは……沢山他愛もないお話に付き合ってくれてっ、本当にありがとう』
勢い込んだように言われて、美鳥は自分が日本にいた時にはすでに結葉の苦しみは始まっていた?と気付かされた。
「ゆいちゃん、お別れを切り出したのって……」
結局、聞かずにはいられなかった美鳥だ。
『そ、それは……』
そこで言い淀んだ結葉に、美鳥はもしかして、と思う。
結葉のことだから、自分の立場が悪くなる――偉央から自分が離婚を切り出された――ことなら割とすんなり話してくれる気がする。
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