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立地的に偉央の職場が目の前にあるあのマンションに、例え旦那からの許可があったとしても、自分なら住み続けられないなと思ってしまった美鳥だ。
きっと結葉もそのはずで。
『あ、あの……』
「あっ。もしかしてお家に戻ってるのかな? あの家、ゆいちゃん一人で住んだら広過ぎて寂しいんじゃない? 平気?」
空き家になっているのだ。
別居が必要になった娘が移り住むにはちょうど良いかな?と思って。
そうだ。だからお隣の想から、結葉の電話番号が変わったという連絡が事前に入ったのかもしれない。
そこで、働いていない結葉が、電気代やガス代を捻出するのは大変かもと思い至った美鳥だ。
「そういえば……光熱費は大丈夫? 節約節約って我慢してない?」
日本もまだ寒い時期のはずだ。
お金を気にして寒い室内で結葉が震えているかもと思ったら、心配になってしまった。
「光熱費はお父さんの口座から勝手に落ちるし、気にせずバンバン使って良いんだからね? ご飯は……ちゃんと食べられてる?」
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