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言ったら、結葉が『あ、あのっ、お母さんっ……!』と美鳥の言葉を遮るみたいに呼び掛けてきた。
『私、いま、実家にはいないのっ』
続けてそんな風に言われて、美鳥は思わず「えっ」とこぼしてしまう。
「――じゃあ、一体どこに……いるの?」
仕事を見つけてアパートを借りたと言うことだろうか?
でもそれはすごく勿体無い気がして。
「どこかのアパート? そんな勿体無いことしなくても――」
言い募ろうとしたら、『違うの。お母さん、私ね……』と結葉が美鳥の言葉を再度遮ってから、先を言うのを迷ったみたいに言い淀んだ。
その、煮え切らない娘の態度に、美鳥は結葉がどこにいるのかますます心配になって。
「も、もしかして……ゆいちゃん。想くんの……アパートにいるんじゃないでしょうね?」
それならば、先んじて想から連絡があったことの説明も出来る気がして、美鳥はソワソワしてきてしまう。
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