734人が本棚に入れています
本棚に追加
美鳥は、結葉が長いこと想に片想いしていたのを知っているし、今みたいに傷心の身で彼の近くにいたら、その想いが再燃しかねないのではないか?と思って。
それに、いくら想が良識のある子でも、彼だって立派な成人男子なのだ。
結葉がその気になったなら、間違いが起こらないとは言い切れないではないか。
(想くんが、彼女とどうなったのかも結局分からず終いだし)
もしも、いま仮に想がフリーだとしたら、二人を止めるものは何もない気がしてしまった美鳥だ。
結葉が偉央と本当に離婚するつもりならば、想との同棲は、結葉にとって不利にしかならないだろう。
いくら幼馴染みで、小さい頃からお互いの家を行き来している仲とは言っても、若い男女が一つ屋根の下にいて、世間一般の人が何も思わないわけがないのだから。
『……たっ、確かに想ちゃんのお世話にはなってるけど……住んでるのは想ちゃんのアパートじゃない……』
結葉の言葉はまるで要領を得なくて。
美鳥は娘をそばで見守れない焦燥感に
「じゃあどういう……」
つい次々に畳み掛けるように自分の思いを話してしまいそうになる。
最初のコメントを投稿しよう!