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結局弁当は想が拾い上げて、結葉は髪の毛の下、ほんのり赤くなった額をさすりながら「想ちゃん、ごめんね」と眉根を寄せた。
「バーカ、お互い様だろ」
前髪が短めだからだろうか。
想の額がほんのり赤くなっているのが見えて、結葉は自分も見えないだけで同じだろうなぁと思って。
「うん、頭もなんだけど……お弁当も」
想の手にした包みを指差したら「ああ、中身の心配?」とククッと笑われた。
「多分大丈夫だろ」
想がそう太鼓判を押すのには、ちゃんと根拠がある。
結葉が作る想のお弁当は、想にたくさん食べさせたいという思いが一緒に入れてあるみたいに、中身が結構みっちり詰まっているから。
恐らく垂直落下したぐらいでは寄り弁になんてなっていないだろう。
それでもやっぱり作り手としては、中の様子が気になるらしい。
「でも……一応どうだったか教えてね」
言い募るように眉根を寄せる結葉に、想は「了解」と言ってもう一度ククッと笑った。
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