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偉央は、結葉の前ではいつも凛としていて、涙を見せるような弱い男性ではなかったけれど、そのポツポツと紙面に散らばる違和感を目にして、そう確信した結葉だ。
小切手に添付されていた、想へのメッセージ同様、小さなメモ用紙に書けば事足りるようなその短い文面は、諸々の条件と相まってとても寂しそうに見えて。
あの広いタワーマンションの一室で、偉央が一人ポツンと佇んでいる姿まで目に浮かんできてしまった結葉は、ギューッと胸が締め付けられるような痛みを覚える。
「偉央さん……」
手紙の中の偉央は余りにも弱々しくて、結葉のイメージからかけ離れていて。
結葉は彼のことが心配で堪らなくなってしまった。
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