32.偉央の泣き言と結葉の内緒ごと

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 店内に入るなり、結葉(ゆいは)がいの一番に目指したのは便箋(びんせん)のコーナーで。  結葉(ゆいは)はあの二文だけの短い手紙を読んだあと、偉央(いお)に返事を書かねば、と思ってしまったのだ。  百均はレターセットも結構充実していて、可愛い絵柄のものが思いのほか沢山並んでいた。  その中に、たまたまハムスター柄の、ほのぼのタッチのレターセットを見つけた結葉(ゆいは)は、ちょっと子供っぽいかな?と思いながらも、それをカゴに入れる。  あの日、マンションから勝手に連れ出して来てしまったけれど、雪日(ゆきはる)偉央(いお)からプレゼントされたハムスターだ。  ちゃんと元気にしていると伝えねば、と思ってしまった。  スマートフォンで撮った写真を、コンビニにある機械で簡単にプリントアウト出来ると聞いた結葉(ゆいは)は、先日(せり)にやり方を教えてもらっておいた。  ここからちょっといった交差点のところにコンビニがあったはずだから、そこで一枚だけ雪日(ゆきはる)の写真を現像して手紙に同封しよう。  そう心に決めた結葉(ゆいは)は、今度はお弁当箱のコーナーに向かった。  (そう)が使っているような大きな弁当箱は、百円では買えないんだと知って、「うー」と思わず声が漏れた結葉(ゆいは)だ。
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