32.偉央の泣き言と結葉の内緒ごと

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 そこで、そういえば、と思い出した結葉(ゆいは)は、保存容器が大小様々取り揃えられたタッパーのコーナーに行ってみる。  フタがついた四角いタッパーは、大きさにもよるけれど、数個単位でまとまって百円というのものがいくつかあったのを、前に(そう)と別の百均に行った際に見ていたのだ。 (そうそう。これ、これ)  心の中でそうつぶやきながら、結葉(ゆいは)は容量に二七〇ml(ミリリットル)と書かれた正方形の二個組タッパーを三セットカゴに入れた。 「あとは……」  スーパーに寄って、食材をいくつか買って帰れば、今日の任務は完了だ。 ((そう)ちゃんのお弁当のおかずを作るついでにちょっとだけ多めに作ってこのタッパーに移したら、偉央(いお)さんにも分けてあげられる……)  レジに向かいながらそこまで考えて、結葉(ゆいは)は思わず立ち止まってしまった。  偉央(いお)からの手紙を見て、(偉央(いお)さんに何か作って食べさせてあげたい)と思ったのだけれど……それをどうやって彼に届けたらいいのか……。  そこを考えていなかったことに、今更のように気が付いたのだ。
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