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(想ちゃんは、私のためにすごくよくしてくれているから……イヤな思いをさせたくない)
正直、結葉は昔みたいに想に惹かれ始めていて……想と家族みたいに暮らせている今の生活を、とてもとても大切に思っている。
それを壊しかねないこの愚行は、秘密裏に処理しないといけないと考えた。
(すっごく怖いけど……きっと大丈夫……だよ、ね?)
行く前に匿名で『みしょう動物病院』に電話して……受付に偉央さんが勤務中かどうかを確認して。
「いる」って言われたら「分かりました」って答えて電話を切ってから、マンションにこっそり入って冷蔵庫の中に料理だけ仕舞って……コンシェルジュのお二方にその旨をお伝えする、というのはどうだろう。
あの日、逃げるようにあの場を後にしてしまったから、散々お世話になったコンシェルジュのふたり――斉藤と白木――に、ちゃんと礼を言えていなかったのもずっと引っかかっていた結葉だ。
あの時借りた制服も、結局想に返しに行ってもらってしまったから。
(行ったら、それも含めてお礼を言おう。おかげさまで、元気に暮らしていますって伝えよう)
そんな風に思って。
結葉は、想に内緒で偉央の部屋に侵入するという恐怖を、コンシェルジュの二人に礼を言うという大義名分でコーティングした。
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