32.偉央の泣き言と結葉の内緒ごと

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***  翌日の早朝。  前の日から仕込んでおいたおかずと、今朝作ったおかずとをずらりキッチンに並べた結葉(ゆいは)だ。  隠密(おんみつ)にことを運びたかった結葉(ゆいは)は、今朝はみんなが起きてくるよりかなり早く――四時前から起き出して作業をしていた。  ひじきと大豆の煮物。  鶏胸肉のつくね照り焼き。  ピーマンの肉詰め。  出汁いりの甘めなお味の卵焼き。  ブロッコリーと豚肉の味噌炒め。  椎茸とねじりこんにゃくのピリ辛煮。  ナスと豚こまの生姜焼き。  ほうれん草のおかかバター炒め。  ホタテのベーコン巻き。  豆腐入りミニハンバーグ。  肉じゃが。  きんぴらごぼう。  昨日百均で買ってきた、六個のタッパーを、アルミホイルやラップで半分に仕切って、十二種類のおかずをみっちり詰め込んで。  それを、同じく百均で買っておいた紙袋の中に収めてから、結葉(ゆいは)は誰にも見つからないよう足音を忍ばせて、こっそり自室へ置きに行った。  キッチンに戻ってきた結葉(ゆいは)は、残りを冷凍保存出来るものは小分けにして冷凍庫に入れて、出来ないものは(そう)の今日のお弁当のおかずとして彼の弁当箱に詰めていく。
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