32.偉央の泣き言と結葉の内緒ごと

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 純子はちょいちょい結葉(ゆいは)の頭を撫でてくるのだけれど、きっと(そう)が幼い頃からことあるごとに結葉(ゆいは)の頭を撫でてくるのも、純子の影響があるんだろうな、と思った結葉(ゆいは)だ。  そう言えば、公宣(きみのぶ)も先日会社の会議室で結葉(ゆいは)の頭を撫でようとして、(そう)に睨まれていたのを思い出す。  そう考えてみると、山波家(やまなみけ)では、頭を撫でると言う行為が、割と日常茶飯事なのかな?と思って。 ((そう)ちゃんに頭を撫でられるの、そんなに構えなくてもいいのかも?)  そうされるたび、何年間も照れてきておいて今更だけど、そんな風に思った結葉(ゆいは)だった。 *** 「今日はちょっとおかず、多めに作りすぎちゃって。もしよかったら(せり)ちゃんも使って?」  卵焼きなんかはわざと多めに作って、(せり)のお弁当にも入れられるよう、切るサイズまで調整した結葉(ゆいは)だ。  結葉(ゆいは)の言葉に、たくさん並べられた惣菜の山を見て、(せり)が目をキラキラと輝かせる。 「わぁ〜。すごい! 今日ってもしかしたらこれ入れさせてもらって、ご飯詰めたらお弁当完成じゃない?」
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