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ヤッター!と諸手を挙げて喜ぶ芹を見て、「そんな風に言ってもらえるの、すっごく嬉しい」って微笑み返したら、横からヒョイッと手が伸びてきてつくねの照り焼きを一個、さらって行ってしまった。
「あっ」
芹が抗議の声を上げる目の前で、純子が口をモグモグさせながら「ん〜、美味しっ♡」と微笑んだ。
「お母さんっ!」
ムムッとする芹を、
「まだ、たくさんあるから大丈夫だよ?」
結葉が苦笑しながらなだめてみたけれど、芹は自分の弁当箱のフタを閉めて包むまで、そんな母親を警戒し続けていた。
きっと芹にとってはハプニングとしか呼べない母子のやり取りも、結葉にはとっても微笑ましく見えて。
自然口の端に笑みが浮かんでしまう。
「おはよー。……って結葉、お前朝っぱらからなに楽しげに笑ってんの? 何か面白ぇーことあった?」
想が起きてきて、結葉の表情に気が付いてそんな言葉を投げかけてきて。
結葉がふるふると首を振っていたら、入り口付近で立ち止まった息子を押すようにして「こら、想、でっかいのが通路を塞ぐな」と公宣がキッチンに入ってくる。
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