32.偉央の泣き言と結葉の内緒ごと

21/22
前へ
/848ページ
次へ
「みんな、おはよう」  一家の大黒柱の起床に、みんなが一斉に「おはよう」と返して。  皆が話している間も、一人黙々と朝食の準備をしていた純子が、「今日の朝ごはんはミネストローネとディナーロールとサラダでぇ〜す」と、食卓に出来上がったばかりの料理を並べていく。  ディナーロールは純子の友人がやっているという、自宅ショップのパン屋さんから買ってきたものだとかで、バターがたっぷり使われたフワフワツヤツヤの美味しそうなパンだった。  今日の朝食は、ワンプレート料理の形式で供するつもりらしく、真っ白な大きめの皿に載せられたディナーロールの隣には、カットトマトとレタスなどのサラダが添えられていて、そのそばにはスープ用カップに入れられたミネストローネがゆるゆると湯気を(くゆ)らせていた。  山波家(やまなみけ)のキッチンには、今朝結葉(ゆいは)がご飯を炊かせてもらった炊飯器の他に、電気圧力鍋があって、今日みたいに時折スープが仕込まれていることがある。  タイマー付きらしく、朝皆が起き出してくる頃を見計らったみたいに、いい匂いがキッチンを満たしたりする。  結葉(ゆいは)もマンションにいた頃は、電気圧力鍋ではなかったけれど、サブの炊飯器を利用して朝起きたらスープが出来ているようにセットして眠ったりしていた。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

734人が本棚に入れています
本棚に追加