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独身の頃、ハムスターの福助を連れて、『みしょう動物病院』までバスで行ったことがある。
山波家近くの最寄りのバス停でお目当てのバスが来るのを待ちながら、結葉はその時のことを思い出していた。
母・美鳥が作ってくれたトートバッグに入れた福助が、キャリーケースの中でチョロチョロと動くたび、コトコトとケージが揺れるのを感じて、何度も何度も隙間から中の様子を確認して。
黒々としたまぁーるい目と視線がかち合うたびキュンと胸が高鳴った。
福助は、結葉が初めて飼った生き物だったからだろうか。
何て可愛いんだろう!とそのつぶらな瞳に魅了されたのを思い出す。
可愛くて可愛くてギューッと力の限り抱きしめたくなる気持ちを、そんなことをしたら潰しちゃう!と、グッと奥歯を噛み締めて逃したっけ。
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