33.久々の我が家

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***  偉央(いお)結葉(ゆいは)が住んでいたタワーマンションは、生体認証が鍵になっていた。  生体認証には顔認証や虹彩認証など、さまざまなものがあるらしいのだが、このマンションのそれは指紋認証システム採用だ。  結葉(ゆいは)は(どうかまだ登録が抹消されていませんように)と祈るような気持ちで正面入り口にあるセンサーに恐る恐る右手人差し指を当てる。  ――と、すぐにピッという聞き慣れた音がして、難なく目の前の自動ドアが開いた。 (よかった……)  マンションの入り口は、割と『みしょう動物病院』から丸見えの位置にあるため、結葉(ゆいは)はいそいそと中に入って――。  すぐに真正面の受付ブースにいるコンシェルジュらと目が合った。  結葉(ゆいは)に気が付いた斉藤と白木(しらき)が、何か話し掛けたそうに結葉(ゆいは)を見つめてきたけれど、結葉(ゆいは)は心の中で〝後程ちゃんとうかがいます!〟と言い訳をして、ペコペコと頭を下げながら急いでエレベーターホールへと向かう。
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