33.久々の我が家

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 それにドキッとさせられてしまった結葉(ゆいは)だ。 (大丈夫、いつも通り……。いつも通り)  別に偉央(いお)が中にいて、電気をつけたわけではない。  そう自分に言い聞かせてそっと内側に入ると、ふと昔の記憶を思い出して無意識、密室になるのを避けるみたいに玄関扉の下部に、手近にあった靴べらを挟んでオートロックが掛からないようにした。  いつもなら理路整然とした状態のはずの玄関の土間に、結葉(ゆいは)の靴と偉央(いお)の靴が数足ずつ散らばっていて、偉央(いお)の精神状態の乱れを感じて切なくなる。  結葉(ゆいは)が一緒に暮らしていた頃は、玄関先には一足の靴も出ていなくて、履くものをすぐ横のシューズクロークから取り出しては履いていた。  なのに――。  帰りにここに散らばっている靴と、シューズクロークに仕舞われたままの靴を数足持ち帰ったらいいかも。  今、結葉(ゆいは)は逃げるときに履いていたスニーカー一足で生活している。  (そう)は靴も買おうと言ってくれたけれど、差し当たって困るわけではないから、と買わずにいたのだ。 (これ、持って帰ったら買わずに済むよね)
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