33.久々の我が家

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 だけど少しでも偉央(いお)がこちらに近付いてきたら、しっかり距離を取ろうと思って。  警戒心が視線に滲み出ていたのかもしれない。  偉央(いお)は小さく溜め息を落とすと、 「……そっか。わざわざ……僕のためにそんなことを。本当に有難う……」  それでも淡く微笑んで。  その悲しそうな笑顔に、結葉(ゆいは)はギューッと胸が締め付けられる。 (偉央(いお)さん、痩せた?)  いや、痩せたというよりやつれた、と言った方が正しい気がした結葉(ゆいは)だ。 「偉央(いお)さん、ご飯、ちゃんと食べていらっしゃいますか?」  思わずそんなことを問い掛けてしまったのは、偉央(いお)が余りにも弱々しく見えたから。 「……どうだろう。食べてないことはないんだけど……余り食は進まない、かな。……何か久しぶりに会えたのに情けなくてごめん……」  プライドの高い偉央(いお)が、弱々しいところを他者に見せること自体珍しいことだ。  力なくこぼされた言葉に、結葉(ゆいは)は気が付けば、いま冷蔵庫に仕舞ったばかりのタッパーを取り出して、「少し召し上がられませんか? 私、準備しますので」と誘い掛けていた。  それはほぼ無意識に口をついて出てしまっていたセリフで。  偉央(いお)結葉(ゆいは)の言葉に、彼女を見詰めて驚いたように「え……?」とつぶやいた。
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