33.久々の我が家

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「こ、わくないって言ったら嘘になるけど……でも、偉央(いお)さんを支えるのは嫌じゃない……」  考えてみれば、偉央(いお)が自分に対してこんな弱い部分を見せたことは、彼との長い付き合いの中で一度もなかった気がした結葉(ゆいは)だ。 「だから……変に気を遣わず私を頼って?」  そのぐらい偉央(いお)が弱っているのもあるのだろうけれど、自分の弱さを見せてくれる今の偉央(いお)となら、ちゃんと話が出来る気がして。 「立てますか?」  結葉(ゆいは)自身、偉央(いお)を支えたままでは立ち上がることが出来なかったから、一旦先に自分だけ立ち上がらせてもらって、偉央(いお)に恐る恐る手を差し出した。  偉央(いお)はそんな結葉(ゆいは)を切なげな目で見上げてくると、そっと伸ばされた手を握る。 「有難う……結葉(ゆいは)」  間近で偉央(いお)に名前を呼ばれて、結葉(ゆいは)は無意識だったけれどトクン……と心臓が跳ねたのを感じた。  偉央(いお)の低音ボイスで名前を呼ばれるのが好きだったな、とふと思い出して切なくなって。  偉央(いお)とこの部屋で再会して、名前を呼ばれたのはこれで二度目。  最初に「結葉(ゆいは)?」と呼び掛けられた後は、まるで意図的ででもあるかの様に「キミ」と呼び掛けられていたから。  結葉(ゆいは)はグッと奥歯を噛み締めると、押し寄せる諸々の感情を一旦胸の奥底に押し込めた。
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