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寝室はカーテンが閉められていて薄暗いからだろうか。
結葉は何だかソワソワと落ち着かない。
自分も少し前まではこの部屋で寝起きしていたんだと思うと、監禁生活の片鱗をふと思い出してしまって、結葉は自然心拍数が上がってくるのを感じてしまう。
「偉央さん、大丈夫ですか?」
それを誤魔化すみたいに偉央を気遣ったら、心底申し訳なさそうな顔をして偉央が吐息を落とした。
「せっかく久しぶりにキミに会えたのに……情けない所を見せてしまってすまない」
「それは気にしないで? だけど……本当にどうしちゃったの?」
自分が偉央を置き去りにしたから?と心の片隅で思わなくもない結葉だったけれど、そんなことを思うこと自体烏滸がましいかも、とも思って。
「とりあえず横になって?」と偉央を促してベッドに寝かせると、結葉は静かに偉央を見つめた。
本当なら熱がないか額に触れたりしてみるのが正解だと分かっているけれど、さすがにそこまでは怖くて出来そうにない。
さっきから病人相手に、自分は中途半端な態度ばかり取っているな、と心の中で一人吐息を落とした結葉だ。
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