33.久々の我が家

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「辛くないですか?」  結葉(ゆいは)の一挙手一投足から目を離したくないみたいにじっと自分の動きを目で追ってくる偉央(いお)に、何だか居心地の悪い結葉(ゆいは)だ。  それを払い除けるみたいに問いかけたら、「大丈夫だよ、有難う」と穏やかに微笑み掛けられて。  今日の偉央(いお)は付き合っていた頃を彷彿(ほうふつ)とさせられる柔らかな表情をよく向けてくる。  そのたびに、結葉(ゆいは)は胸の奥がざわついてしまう。  ともすると偉央(いお)のその雰囲気にほだされてしまいそうな気持ちになるけれど、結葉(ゆいは)はその柔和(にゅうわ)さの奥に秘められた、偉央(いお)の激情を知っているから。  だからギュッと拳を握り締めると気持ちを切り替えた。 「あの、熱いので気を付けて食べてくださいね」  そこまで言って、お茶を忘れていたことに気が付いた結葉(ゆいは)は、「お茶、用意してきます」と(きびす)を返す。 「結葉(ゆいは)っ、待って」  途端、不安そうに偉央(いお)が呼び止めてきて、出し掛けた足を引き止められてしまう。
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