33.久々の我が家

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「大丈夫です。お茶を淹れてくるだけです」  捨て犬みたいな目でじっと見つめてくる偉央(いお)に、自分がこの家を逃げ出した後、偉央(いお)がどれだけ寂しい思いをしたかを垣間見た気がして、胸の奥がズキッと痛んだ結葉(ゆいは)だ。 「私も偉央(いお)さんのそばで一緒にお茶、飲みますから」  ――それなら不安じゃないですよね?と言外に含ませたら、偉央(いお)が小さく(うなず)いた。  いまの偉央(いお)には、何だか放っておけないオーラがある。  だけど、彼が自分にしたことを思い出すと、結葉(ゆいは)はそれでもやっぱりこのままずっとここに居ることは出来ないと思って。  でも、だったらせめて――。  偉央(いお)がご飯を食べて眠りにつくまでの束の間の時間だけは……出来る限りのことをしてあげようと……そんなことを考えてしまった。  自分はつくづく色んなことに流されやすい性格だと……結葉(ゆいは)は心の中で小さく嘆息する。  そうして、そんな自分の優柔不断さが(そう)に物凄く心配を掛けてしまうことになるだなんて、その時の結葉(ゆいは)は思いもしなかったのだ。
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