34.出て来ない結葉

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 だから戸籍上、二人は夫婦なわけだし、(そう)が介入する問題ではないというのも分かっているつもりだ。  だが、結葉(ゆいは)が助けを求めてきた時の酷い有り様を知っている(そう)としては、どうしても気にせずにはいられないのだ。  ほぅ、っと吐息をつくと、(そう)は気持ちを切り替えるように軽トラのハンドルをギュッと握り直した。 ***  結葉(ゆいは)のことを気にしつつも、何とか午前中の仕事に集中した(そう)だ。  今日は商店街に程近い場所にある、山波(やまなみ)建設管理のアパートの一室の改修工事に携わっていて。  午後からも引き続き同じ現場で作業を行う予定になっている。  昼になったし、車ん中で結葉(ゆいは)にメールでも送ってみるか、と思っていた矢先――。  作業着の胸ポケットから取り出したばかりのスマートフォンが、着信を知らせるバイブを伝えてきた。  画面を見ると、市内の固定電話からのようだが、生憎(あいにく)未登録の番号らしく、数字だけが表示されている。  市内からなら、知らない番号でも仕事絡みの場合が多いのを経験上知っている(そう)だ。
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