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結葉は、あんなにも旦那に会うのを怖がっていたはずなのに、一体何を考えているんだろうか。
無論、想だって鬼じゃない。
結葉が本気で旦那に会いたいと言えば、個人的な気持ちとしてはどんなにモヤモヤするところがあろうとも、それを押し殺してちゃんと二人が会えるよう手配をするぐらいのこと、出来るつもりだった。
(俺がダメって言うとでも思ったのかよ!)
そう考えた想だったけれど、それは何か違う気がして。
そもそも自分は結葉に、面と向かってそんな話をした覚えだってある。
結葉は「その時はお願いするね」と、想の手を微かに震える小さな手で握ってきたのだ。
(とすると――)
やはり偉央から届いていた手紙にその答えがあるような気がした想だ。
あの封書、結葉宛だからと開封せずに彼女に渡してしまったけれど、こんなことならば中身を検めてから手渡すべきだった。
そんなことを思って、(いや、それは人としてダメだろ)と、慌ててその考えを否定する。
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