34.出て来ない結葉

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 結葉(ゆいは)は、あんなにも旦那に会うのを怖がっていたはずなのに、一体何を考えているんだろうか。  無論、(そう)だって鬼じゃない。  結葉(ゆいは)が本気で旦那に会いたいと言えば、個人的な気持ちとしてはどんなにモヤモヤするところがあろうとも、それを押し殺してちゃんと二人が会えるよう手配をするぐらいのこと、出来るつもりだった。 (俺がダメって言うとでも思ったのかよ!)  そう考えた(そう)だったけれど、それは何か違う気がして。  そもそも自分は結葉(ゆいは)に、面と向かってそんな話をした覚えだってある。  結葉(ゆいは)は「その時はお願いするね」と、(そう)の手を微かに震える小さな手で握ってきたのだ。 (とすると――)  やはり偉央(いお)から届いていた手紙にその答えがあるような気がした(そう)だ。  あの封書、結葉(ゆいは)宛だからと開封せずに彼女に渡してしまったけれど、こんなことならば中身を(あらた)めてから手渡すべきだった。  そんなことを思って、(いや、それは人としてダメだろ)と、慌ててその考えを否定する。
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