34.出て来ない結葉

16/28

735人が本棚に入れています
本棚に追加
/848ページ
「やっ、――偉央(いお)さっ……、ん、んーっ!」  偉央(いお)に組み敷かれて唇を強引に塞がれて初めて。  結葉(ゆいは)偉央(いお)が発した言葉の意味を明確に理解した。 「結葉(ゆいは)、いまから僕らの子供を作ろうか。子供はきっと(かすがい)になってくれるはずだから」  強引な口づけを解いた偉央(いお)からそう宣言された結葉(ゆいは)は、必死に首を振る。 「いやっ。……だって偉央(いお)さんっ、私たちもう……」 「うん。壊れかけてる。だからこそ、だよ」  偉央(いお)の目を見て、結葉(ゆいは)は彼が本気でこんなことを言い出したんだと悟って。  一生懸命偉央(いお)の下から逃れようと暴れてみたけれど、偉央(いお)はびくともしなかった。 「結葉(ゆいは)、安心して? 今日は……いや、これからはずっと。酷くしたりしないから。ちゃんとキミを気持ち良くして――」  話しながら偉央(いお)の手が結葉(ゆいは)の身体に伸びてくる。  今日は先ほどキッチンで脱いだコートの下に、オフホワイトのダボっとしたハイネックチュニックを着て、下着がわりのヒートテックを重ねて薄着のわりに暖かい格好にしてきた結葉(ゆいは)だ。  そのトップスに合わせたのはベロア素材のプリーツスカート。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加