35.二度目のSOS

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 結葉(ゆいは)(そう)に助けを求めてきたのはこれで二度目だ。  旦那に監禁されていた結葉(ゆいは)が電話で助けを求めて来た一度目とは違って、今回は結葉(ゆいは)の声音が――物理的には聞こえにくい状況であったにも関わらず――とても力強く感じられて。  その声に後押しされたみたいに勢いよく扉を押し開けたと同時、奥の方から「私、みんなが待ってる家に帰りたいのっ!」という結葉(ゆいは)の声が聞こえてきた。  (そう)は、その声の凜とした響きに、思わず気圧(けお)されて立ち止まってしまっていた。  「みんな」と言われただけで別に「(そう)ちゃん」と呼ばれたわけではなかったのに、結葉(ゆいは)が言った〝みんな〟には間違いなく自分も入っていると確信した(そう)だ。 「結葉(ゆいは)っ!」  (そう)結葉(ゆいは)の声に呼応したように半ば叫ぶ調子で幼馴染みの名を呼ばわって、迷いなく扉の内側へ足を踏み出した。  見えはしないけれど、状況から(かんが)みるに、結葉(ゆいは)がいま対峙(たいじ)している相手は御庄(みしょう)偉央(いお)に違いない。
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