35.二度目のSOS

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***  (そう)が寝室のドアを開けた時、偉央(いお)結葉(ゆいは)の上に馬乗りになっているところだった。  ベッドは入り口に対して並行に置かれていたので、偉央(いお)の手が伸びた先――。  ベッドの上の結葉(ゆいは)偉央(いお)の下、華奢な首元に手を掛けられている姿がハッキリと見えて。  偉央(いお)の手を遠ざけたいみたいに結葉(ゆいは)の白い手がギュッと旦那の手を握っていた。  なのに――。  (そう)の目の前で、偉央(いお)の腕を掴んでいた結葉(ゆいは)の手が、パタリとベッドの上に落ちて、ダラリと力なく伸ばされたのが見えた。  それを目にした瞬間、(そう)偉央(いお)を殴り飛ばして、結葉(ゆいは)の上から跳ね除けていた。 「結葉(ゆいは)!」  向こう側へ薙ぎ倒された偉央(いお)のことなんて構っている気にはなれなかった(そう)だ。  グッタリと手足を弛緩させた結葉(ゆいは)の姿は、(そう)をただただ不安にさせて。  締められた首を見ると、それほど強い力は加えられていなかったのか目立つ痕は残っていないのに。  結葉(ゆいは)が目を開けないという事実だけが、重く重く(そう)の心に伸し掛かってくる。
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