35.二度目のSOS

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 結葉(ゆいは)を危険な目に遭わせたのも紛れもなくあの男だが、結葉(ゆいは)が意識をとり戻す手助けをしてくれたのも、間違いなく御庄(みしょう)偉央(いお)だったから。  (そう)には、偉央(いお)が何を考えているのかさっぱり分からないけれど、結葉(ゆいは)を殺したいほど憎らしく思っているのも、殺さなくて良かったと涙を落とすくらい愛しく思っているのも。  そのどちらもが、疑う余地もなく偉央(いお)の本心なんだろうと思った――。 *** 「(そぉ)、……ちゃ……?」  意識を取り戻した結葉(ゆいは)が、咳き込んだせいで涙に潤んだ目で、ぼんやりと自分を見上げてきて。  掠れた声で(そう)の名を呼んだのを聴いて、そんな全てがどうでもいいと思ってしまった(そう)だ。 「助……け、に……来て……くれた、の……?」 「ああ……」  結葉(ゆいは)の途切れ途切れの問い掛けにぶっきらぼうに応えながら、(そう)結葉(ゆいは)が今こうして自分の名前を呼んでくれて、泣きそうな顔で自分を見上げてくれることが心の底から幸せだと思った。
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