35.二度目のSOS

16/19
前へ
/848ページ
次へ
「……えっと……まだちゃんとしておきたいあれこれがあるから……。その、少し離してもらえたら嬉しいな?」 「俺……」  この()に及んでまだそんなことを言ってくる結葉(ゆいは)に、(そう)は言わずにはいられない。 「ん?」 「俺、お前が俺に黙ってここへ来て……御庄(みしょう)さんに首絞められてんの見た時、生きた心地がしなかったんだけど? ……気ぃ失ったまま何度呼びかけてもちっとも反応してくんねぇし……本当に不安で不安で堪らなかった!」 「ごめんなさい……」 「別に謝らせてぇわけじゃねぇよ。ただ……」  だから、自分はこの手を離したくないんだと言わんばかり。  ギュッと結葉(ゆいは)を腕の中に閉じ込めるように抱きしめると、(そう)はそのまま言葉を紡いだ。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

738人が本棚に入れています
本棚に追加