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「……えっと……まだちゃんとしておきたいあれこれがあるから……。その、少し離してもらえたら嬉しいな?」
「俺……」
この期に及んでまだそんなことを言ってくる結葉に、想は言わずにはいられない。
「ん?」
「俺、お前が俺に黙ってここへ来て……御庄さんに首絞められてんの見た時、生きた心地がしなかったんだけど? ……気ぃ失ったまま何度呼びかけてもちっとも反応してくんねぇし……本当に不安で不安で堪らなかった!」
「ごめんなさい……」
「別に謝らせてぇわけじゃねぇよ。ただ……」
だから、自分はこの手を離したくないんだと言わんばかり。
ギュッと結葉を腕の中に閉じ込めるように抱きしめると、想はそのまま言葉を紡いだ。
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