36.終止符

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*** 「あ、あの……先生?」 (御庄(みしょう)先生はいま、何て言ったの?)  美春(みはる)偉央(いお)の言葉が信じられなくて、固まってしまう。 「急にこんなことを言われても戸惑うよね。ごめん……」  謝る偉央(いお)に、美春はハッとして問わずにはいられなかった。 「あ、あのっ、奥様は――」 (もし殺してしまったと言われたら、自分はどうしたらいいのだろう?)  頭の中がグルグルして、座っていなかったらきっと、美春はその場にくず折れていたと思う。 「前に話したことあったよね。結葉(ゆいは)の幼馴染みの男。彼が来て僕を止めてくれたから……彼女は無事だよ」  偉央(いお)の言葉に、美春はホッとして今度こそ椅子からずり落ちて床にくず折れた。 *** 「妻が出ていった理由、僕、にもちゃんと話していなかったよね」  偉央(いお)は小さく吐息を落とすと、床に座り込んだままの美春をじっと見つめてきた。 「立てる?」  聞かれてコクッと頷いて何とか椅子に座り直したけれど、美春の心の中はぐちゃぐちゃで、収拾がつかない。
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